国連世界観光機関の調査によると、2019年の各国・地域の外国人訪問者ランキングでポルトガルは26位(1,717万人)、ヨーロッパ内では11位と決して人気のある観光地ではありません。
しかし、ポルトガルには歴史的な遺産をはじめ、多くの魅力的な観光地があります。
また、ヨーロッパの都市の中でも比較的治安が良く、物価も安いため、お勧めの観光地です。
この記事では、ポルトガルの首都リスボンの観光についてご紹介します。

この記事は2021年8月時点の情報をもとに記載されています。訪問の際は最新情報の確認をよろしくお願いします。
リスボンの概要
リスボンはポルトガルの首都であり、ヨーロッパの中で最も西側にある政府首都でもあります。
人口は50.6万人であり、リスボン市を含む大リスボン圏にはポルトガルの総人口(1,029万人)の約1/4が集中している大都市です。
気候は亜熱帯ー地中海性気候に属し、暖かい冬と暑い夏があります。
1月の平均最低気温は8.1℃と比較的温暖ですが、平均降雨日数が15日と雨の日が多いです。一方、8月の平均最高気温は27.8℃ですが、35℃を超える日もしばしばあります。
観光シーズンのピークは雨の少ない夏場(6月から9月)ですが、過ごしやすい春・秋もお勧めです。
リスボンへのアクセス


残念ながら、東京とリスボン間を結ぶ直行便はありません。ヨーロッパの主要国際空港を経由しての入国になります。
例えば、成田空港からベルギーのブリュッセル空港を経由してポルトガルのリスボン空港に入る場合、50分のブリュッセル空港での接続時間を含めて15時間50分の移動時間になります。
リスボン空港からリスボン市内まではリムジンバスやタクシーなので20~40分ほどです。
リスボンカード
リスボン観光にはリスボンカード(Lisboa Card)の利用がお得です。
リスボンカードを購入すると、観光客向けの以下のサービスが利用できます。
- 地下鉄やバス、トラム、電車(近郊都市間に限る)などの公共交通機関の利用
- 37の美術館、モニュメントの入場
- その他さまざまなサービスの割引
24時間有効のリスボンカードは€20です。観光スポットでの入場料や交通費を考えるとすぐに元が取れます。
リスボンカードは事前にオンラインサイトでも購入できますし、現地の観光案内所でも購入できますので、スケジュールに合わせてご購入を検討ください。
見所
ここからは、リスボン観光の見所をご紹介します。
サン・ロケ教会


ポルトガルの首都リスボンにある16世紀後半に建てられた教会。
九州のキリシタン大名、大友義鎮らの名代としてローマへ派遣された使節団である「天正遣欧少年使節」が1584年にリスボンを訪れた際に宿舎として提供された教会であり、日本人と関りが深い教会と言えます。
教会の内部は主祭壇と8つの横並びの礼拝堂で構成されています。建設当時としては非常にモダンな設計でした。


これらの礼拝堂の美しさはリスボンでも有数のものであると言われています。


サン・ロケ教会に向かって右側にサン・ロケ付属美術館が併設されています。美術館には聖ロクスの伝説に関する絵画や、かつてのイエスズ会の所蔵品などが展示されています。
美術館の入館料は€2.5、リスボンカードを持っていれば€1に割引されます。
サン・ロケ教会はメトロのBaixa-Chiado駅から徒歩5分の場所にあります。
サン・ロケ教会の詳細については下記の記事で紹介していますので参考にしてください。
サンタ・ジェスタのエレベータ


アーウレア通りと高台にあるカルモ広場をつなぐエレベータ。エッフェル塔を設計したギュスターヴ・エッフェルの弟子であるラウル・メスニエル・デ・ポンサルドが設計し、1902年に建設が完了しました。
最上階は展望台となっており、リスボンの街並みが一望できます。
上りのエレベータはかなり込みますので、エレベータに乗りたい方は朝早く訪れるなどの対策をすることをおすすめします。
エレベータの乗車料金は往復で€5.3、リスボンカードがあれば無料で乗降できます。
サンタ・ジェスタのエレベータは地下鉄の「Baixa-Chiado」駅から徒歩3分です。
コメルシオ広場


リスボンを流れるテージョ川に面した広場。1755年のリスボン地震で崩壊したリベイラ宮殿があった場所にあるため、宮殿広場とも呼ばれています。
広場の中央にはリスボン地震の際の国王ドン・ジョゼ1世の像があります。コメルシオ広場とアウグスタ通りの間には1875年に完成した勝利の門と呼ばれる門があります。
勝利の門の内部には展望台があり、広場周辺を一望することができます。展望台への入場料は€2.5です。
コルメシオ広場の周辺はショップやカフェが軒を連ねており、ぶらぶら散歩をしたり、お土産探しをするのにもってこいです。
コルメシオ広場は地下鉄の「Terreiro do Paco」駅から徒歩2分です。
サン・ジョルジェ城


リスボン中心部の小高い丘の上にある11世紀の中頃に建てられた城跡。
サン・ジョルジェ城の歴史は古く、紀元前7世紀頃にはこの場所に住宅などの構造物があった痕跡が残されています。
展望台から見えるリスボンの街並みは一見の価値があります。


サン・ジョルジェ城の入場料は大人(26歳~64歳)は€10です。チケットは現地の窓口で購入できます。
サン・ジョルジェ城は、37番バスの「Chão da Feira」バス停下車してすぐです。12番もしくは28番の市電の「Miradouro Sta. Luzia」駅で下車すると、城門まで徒歩6分です。
サン・ジョルジェ城の詳細については、下記の記事で紹介していますので参考にしてください。
ジェロニモス修道院


ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路開拓やエンリケ航海王子の偉業をたたえてマヌエル1世が1502年に着工、約1世紀の期間をかけて完成させたマヌエル様式の修道院。
1983年に「リスボンのジェロニモス修道院とベレンの塔」として、ポルトガル初のユネスコの世界遺産に登録されました。現在もリスボンにある唯一の世界遺産です。
サンタ・マリア教会が併設されており、そちらも見学できます。


ジェロニモス修道院のすぐ横にある「パステル・デ・ベレン」というパステル・デ・ナタ(エッグタルト)のお店は、ジェロニモス修道院から伝えられたレシピを1837年の創業当初から守り続けている老舗です。
ジェロニモス修道院を訪れた際はぜひお立ち寄りください。
ジェロニモス修道院の入場料は€10、リスボンカードを持っていれば無料で入場できます。
15Eのトラムに乗車し、「Mosteiro Jerónimos」駅で下車すれば、ジェロニモス修道院は目の前です。
ジェロニモス修道院とベレンの塔の詳細については、下記の記事で紹介していますので参考にしてください。


ベレンの塔


ジェロニモス修道院と同様に、ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路開拓の偉業をたたえてマヌエル1世の指示により1514年に着工、1519年に完成したマヌエル様式の要塞。
ベレンの塔はテージョ川を渡る船舶を監視する要塞としての役割を持っていたため、建物内にはテージョ川に向かって大砲が並べられた堡塁があり、要塞としての面影を残しています。


ジェロニモス修道院とベレンの塔の間は歩いて15分程度の距離です。
ベレンの塔の入場料は€6、リスボンカードを持っていれば無料で入場できます。
ジェロニモス修道院の項でも示しましたが、過去記事で詳細についてご紹介していますので、そちらも参考にしてください。
発見のモニュメント


エンリケ航海王子の500回忌を記念して1960年に建てられたキャラベル船(帆船)をモチーフにしたモニュメント。高さは56mもあります。
発見のモニュメントにはエンリケ航海王子を先頭に大航海時代に活躍したポルトガルの偉人たちの彫像が飾られています。東側の一番後方には日本でキリスト教の布教活動を行ったフランシスコ・ザビエルもいます。


エレベータで上がる屋上の展望台から周囲の景観を楽しむことができます。展望台への入場料は€6、リスボンカードを持っていると€4.8に割引されます。
発見のモニュメントの前の広場には直径50mもある羅針図(コンパスローズ)があります。
羅針図には大航海時代にポルトガルが拡大していった航路が示されています。日本がポルトガルに発見されたのはポルトガル船が豊後国に漂着した1541年となっています。


発見のモニュメントからはテージョ川にかかる4月25日橋や南岸にある高さ110mのキリスト像であるクリスト・レイ像を望むことができます。


発見のモニュメントは市電15番の「Mosteiro Jerónimos」駅から徒歩5分です。
まとめ
この記事では、リスボン観光の見所についてご紹介しました。
リスボンには「ジェロニモス修道院」や「ベレンの塔」など、大航海時代から遺る建築物をはじめ、多くの歴史的な遺産があります。
それにもかかわらず、観光客の数はヨーロッパの人気観光国と比較すると少なく、ゆったりと観光を楽しむことができます。
リスボン観光の魅力が少しでも皆さんに伝われば嬉しいです。
以上、「リスボン観光ー大航海時代から続く歴史を遺す古き良きヨーロッパ」でした。
コメント