サン・ロケ教会の建物外観に派手さはないのですが、建物内部の美しい装飾には目を奪われます。
九州のキリシタン大名、大友義鎮らの名代としてローマへ派遣された使節団である「天正遣欧少年使節」が1584年にリスボンを訪れた際に宿舎として提供された教会であり、日本人と関りが深い教会と言えます。
この記事では、サン・ロケ教会についてご紹介します。

旅行ガイドでの扱いは小さいですが、お勧めの観光スポットです。ぜひ最後までご覧ください。
概要
サン・ロケ教会はポルトガルの首都リスボンにあり、16世紀後半に建てられました。
メトロのBaixa-Chiado駅から徒歩5分の場所にあります。有名なロシオ広場からも徒歩圏内にあり、観光しやすい立地です。
教会と美術館が併設しており、教会は毎日9:00~18:00の間、無料で見学できます。
歴史
16世紀の初め、黒死病(ペスト)に対する守護聖人である聖ロクスを崇拝するために、サン・ロケ教会の原型となる礼拝堂が、当時のポルトガル王であるマヌエル1世によって建てられました。
1540年に、マヌエル1世の長子であり当時のポルトガル王であるジョアン3世の招待でイエスズ会の会員がポルトガルに到着しました。その後、イエスズ会は聖ロクスを崇拝する礼拝堂の場所に最初の教会を建設することを決めました。
1553年にイエスズ会が礼拝堂の所有権を入手。1565年から教会の建築に着手し、サン・ロケ教会は1587年に完成しました。この教会は、後にイエスズ会が建てた多くの教会の模範となっています。
ちなみに、イエスズ会とは聖イグナチオ・デ・ロヨラを中心とする7人の同志によって設立されたカトリックの男子修道会です。日本にキリスト教を伝えた聖フランシスコ・ザビエルも創立者の一人です。
教会内部


教会の内部は主祭壇と8つの横並びの礼拝堂で構成されています。建設当時としては非常にモダンな設計でした。
内装は、マニエリスムやバロック、ロココ様式が取り入れられています。
内陣


内陣には、聖母マリア像を囲むようにイエスズ会の主要な4人の聖人、聖イグナチオ、聖フランシスコ・ザビエル、聖ルイデゴンザガ、聖フランシスコ・ボルハの像が配置されています。
礼拝堂


サン・ロケ教会にはさまざまな礼拝堂があり、これらの美しさはリスボンでも有数のものであると言われています。
その中でも、1612年に造られたnossa senhora da doutrina(教義の聖母)礼拝堂は印象的でした。
中央に聖母マリアを抱く聖アンナの像、その左右に聖母マリアの両親である聖ヨアキムと聖アンナの像が飾られています。
バロック様式の礼拝堂であり、金色の木工品による装飾が豪奢な雰囲気を醸し出しています。
他の礼拝堂もどれも綺麗でした。最も印象に残る礼拝堂を探してみても楽しいかもしれません。
天井画


天井画は、 スペイン出身のフランシスコ・ベネガスにより、1587年から1589年の間に描かれました。
現在、リスボンに唯一残っているマニエリスム時代の天井画作品です。
美術館
サン・ロケ教会に向かって右側にサン・ロケ付属美術館が併設されています。
美術館では、聖ロクスの伝説に関する絵画や、かつてのイエスズ会の所蔵品などが展示されています。
教会は入場無料ですが、美術館は€2.5の入館料がかかります(2021年8月時点)。
火曜日から日曜日の10:00~18:00が開場時間です。月曜日は休館日となっていますので見学の際はご注意ください。
まとめ
この記事では、サン・ロケ教会をご紹介しました。
教会内の装飾、特に美しい礼拝堂には目を奪われます。観光ガイドでの扱いはそれほど大きくありませんが、お勧めの観光スポットです。日本人とも関係の深いこの教会、リスボンを訪れた際には訪問を計画してみてはいかがでしょうか?
以上、「サン・ロケ教会 リスボン観光におすすめの知る人ぞ知る美しい教会」でした。
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